「それ一人で食べるの?」
既にスプーンを手に持ってパフェへと差し込もうとしていた時に、梶木君が眉間に皺を寄せて聞いてきた。
が、そんなの当然、
「食べますが」
食べないのなら注文していない。
梶木君の質問の意図が分からずに首を傾げるが、梶木君といえば、はぁ…と盛大な溜め息を吐く。
その後に、その量をさ…と言葉が続く。
「一人で食べれるなんて凄いね」
「そうかな?」
「そうだね」
このパフェの量を一人で食べれるのは凄い事なのか……。
ん?なんかそれって、少食で華奢な可愛い女の子のイメージと違うって事ですかい!?
やっぱり梶木君は可愛い女の子が好みとか?
ど、どうしよう。
でもでも、目の前のビッグパフェは私を食べて!ってねだって来るんだよ。
うーっと唸り声をあげながら頭を抱えると、梶木君からクスクスという笑い声が聞こえてくる。
「まあ、森山さんが美味しそうに頬張るのを見てるのは、嫌いじゃないよ」
クスクスと笑いながらそんな言葉を吐く梶木君は私の顔が赤くなるのが分かって言ってくる確信犯かもしれない。
「顔、真っ赤だけど」
「そ、…そうかな?」
「そうだよ」
真っ赤になっている事をわざわざ指摘してくるなんて……。
私にとってはビッグパフェの大きさよりも予想外な事だよ。


