白のレースの半袖ブラウス。下は茶色のショートパンツ。アクセントはオレンジのベルト。


それに、足元は茶色のウェッジサンダルとくれば、完全にいつもの私とは違う服装だ。


いつもの私の定番スタイルは基本、Tシャツにショートパンツ。後は運動靴というもの。


今日はお洒落をした…と断言できる。


頭に被った麦わら帽子は、ただ不器用な為に可愛い髪型が出来なかったって理由もあるのだけど。


左手首にしている腕時計へと目をやるとあと10分で待ち合わせ時間だ。


その時、


「森山さん」


低いその声音にドクンッと心臓がいち速く答える。


顔を上げると、短パンのポケットに怠そうに両手を突っ込んで私へと近付いて来る梶木君と目が合った。



「あっ、梶木君!」



彼の名前を呼ぶと共に頬が緩むのは仕方ない。


だってこんなデートみたいな事を好きな人と出来るなんて幸せ過ぎる事だから。


私の前まで来ると、歩を止めた梶木君が眉間にグッと皺を寄せる。



「早くない、森山さん?」



待ち合わせ時間は午前10時。今はまだ午前9時50分。


梶木君は待ち合わせ時間より10分早く来てくれたんだ。なのに、私がもう待っているから不満なのかもしれない。


でも、10分前なんて私の梶木君を思う気持ちからは遅過ぎる。


私は梶木君より早く着いて、梶木君を待ちたかったんだ。