目を見開いて愕然としている私を見て、見下す様にフッと鼻で笑う梶木君。
その後の、
「ご愁傷さま、森山さん」
そんな言葉を満面の笑顔で言うんだから恐ろしい。
でも、そんな事で挫けている場合じゃない!
ここは何としてでもお腹を満たさないと。
「お金を貸して貰うとかは?」
最善策として思い付いた事を言ってみるが、「嫌だね」とあっさり断られる始末。
「ですよね」
断られるって分かってたんだけどさ。
もしかしたら……なんて期待をした私が馬鹿だった。
ガクッと肩を落とす私には、もう他のお昼ご飯にありつく方法が思い浮かばない。
ちらっと隣にいる梶木君へと目をやると、彼は少し背伸びをして焼きそばパンが残っているかを確認しているらしい。
こうなれば……
最後の手段だ!
「どりゃっ!」
その掛け声と共に隣の梶木君の胸へと顔を突っ込んだ。
「な、何してんの!?」
焼きそばパンへと意識が行っていて油断していた梶木君の驚いている声が降ってくる。
が、私は顔を彼の胸に当てたまま離さない。寧ろ押し付けている位だと思う。
そのままの体勢で思い切り息を吸い込めば、ぶわっとやってくる甘くて美味しい匂い。
その匂いを満喫していると再び梶木君の声が降ってくる。
「何がしたいの、森山さん!?」


