その中でもお祖父ちゃんはこっちが驚く位、優しくて切ない目をお墓に向けていて。


きっとお祖母ちゃんの事を思い出しているのだろう。


いつもは、元気が良過ぎる位のお祖父ちゃんだか、お墓の前に立つといつも涙目になるんだ。


目を閉じて手を合わせる。


静かな時間にスーッと私達の間を流れる風が、自棄に心地良い。


ゆっくりと目を開けると、お父さんへ顔を向けて口を開いた。



「またお盆も来るんだよね?」



また、この場所に来たいな…と思った。


また、お祖母ちゃんに会いに来たいなって。



「勿論!」



ニカッと白い歯を見せて断言するお父さん。


皆もそんなお父さんを見て微笑んでいて、多分またここに来たいと思ったのは私だけなんかじゃなかったんだと思う。


そろそろ帰るか。という声と共に片付けを始めた時、ふと横に目を向けた。


少し離れた所にバケツを持ってお墓の前に立っている綺麗な女性。


お盆前にお墓参りに来ている人は少なくて、さっきまでは家の家族だけだったのもあって、余計に目を惹く。


重そうなバケツを華奢な腕で持っている様は、お父さんが持っている時に重そうと思ったのより、更に重そうに見える。


その時、彼女の焦げ茶色の腰までのロングヘアーがふわっと風で靡く。と、同時に、


「あれ?」


と声を漏らしてしまった。


だって彼女の顔に見覚えがあったから。



「どうしたの?」



不思議そうに首を傾げる海に、


「あっ、うん。ちょっと知ってる人かも」


とだけ口にする。


その間も彼女から目が離せない。