不思議に思って顔を覗き込む様にすれば、頬をほんのり赤く染めて私から視線を逸らす。
梶木君にはやっぱり恋する女子の乙女心は分からなかったかな。
まあ、梶木君だし仕方ないか。
「あっ、でも近付いたらやっぱり梶木君の匂いがプンプンしてたよ!本当に梶木君の匂いは年中無休だよね!この匂いは堪らないです!」
梶木君の甘い匂いを思い浮かべてニカッと笑えば、逸らしていた目が私へと戻る。が、その目は明らかに白い目だ。
「やっぱり匂いじゃん」
「ん?」
梶木君の口が動いてボソッと声が漏れたが、聞き取れなかった。
再び開いた梶木君の口から出た言葉は、私が聞き返した言葉なんかじゃなくて、梶木君らしい返し。
「別に何でもないよ。森山さんがウザいだけだから」
「酷っ!」
「毎度の事だよ」
毎度の事ながら胸にグサグサ刺さってます……。
「ウザ…くはないと…思うよ」
「ぎこちない言い方は、肯定を指すって言うよね」
嘘っ!肯定なんて絶対駄目!
「ウザくないですっ!」
私のその反応に梶木君はフッと鼻で笑うと、
「それを決めるのは森山さんじゃないけどね」
馬鹿にした目を向けてそう言う。
ここが病院だって事を忘れてしまう。それ位よく目にする梶木君の顔に思わず頬が緩む。
おばあちゃんが入院したって言ってたから、梶木君は大丈夫か心配だったんだ。
梶木君はおばあちゃんっ子だから。
梶木君のおばあちゃんは心配だけど、梶木君がいつも通りで少しだけ安心した。
だから私も、……いつも通りで。


