「ええっ!大丈夫なの!?」
「僕は医者じゃないからね」
「いや、そうだけども。取り敢えず早く元気になると良いね!」
梶木君のおばあちゃんが入院なんて!
もしかしたら、もしかしたら私の記憶の中のあのおばあちゃんかもしれない梶木君のおばあちゃんが!
本当に早く元気になって欲しい。
そう思いながら、うーんと唸っていると、梶木君が止めていた足を動かしてゆっくりと歩き出した。
それに合わせて私もゆっくりと歩を進める。
「っていうかさ。森山さん、よく僕だって分かったよね?結構離れてなかった?」
不意にやって来たその言葉にフフッと笑い声を漏らす。
「そりゃ分かりますよ!」
好きな人の後ろ姿なんて分かるに決まってる。
私がどれだけ梶木君の事を見ているか。
もういっそストーカー並です!
が、梶木君から出たのは僕の事よく見てるの?みたいな台詞なんかじゃなくて、
「まさか、……匂い?」
眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をしてそう言われるのは日頃の行いのせい…なんだろうか。
何でも匂いに繋がるのが切な過ぎる!
「違うよ!梶木君の後ろ姿を見間違える筈ないのです!」
「ふーん。何で?」
ぷぅっと頬を膨らませると、梶木君は怪訝そう顔をして首を傾げる。
本当に分からないっていうその顔。
賢いのに気付かない鈍感さ。
凄く簡単な理由なのに。
「だって私、梶木君の事好きだもん!」
「…………」
そう言い切ってどや顔を梶木君に向けるが、彼の顔は固まったまま動かない。


