「ちょっ、ちょっと先に帰っといて!私、用事あるから!」
「えっ、何それ!?」
そう言って皆とは違う方へと駆け出す。
「あっ、ちょっとお姉ちゃーん!」
海の叫び声が聞こえてくるけど、今は本当にそれどころじゃないんだ。
角を曲がってしまった為に目に映らなくなったその後ろ姿を必死で追い駆ける。
病院で走っちゃいけないって事は分かってる。でも、足が動くんだ。
速く!もっと速く!って。
駆け足で勢いよく角を曲がると、だいぶ近付いたその後ろ姿に向かって大声を上げた。
「梶木くーん!!」
動いていた足を止めてゆっくりと後ろを振り返るその姿にゴクッと息を呑む。
「えっ!?」
目を見開いて驚いた顔をして私を見つめる彼の顔を見ただけで、ドクンッと心臓か跳ね上がる。
ああ、やっぱり見間違いじゃなかった。
「やっぱり梶木君だ!」
梶木君へと駆け寄って行く私の頬は思いきり緩んでると思う。
だって、梶木君に会えたのは夏休みに入って初めてだから。
梶木君不足で枯れていた心が一気に蘇っていく。そんな感覚だ。
「何で森山さんがいるわけ?」
梶木君の横に並ぶと明らかに不思議そうな顔をして首を傾げる梶木君。
病院と元気一杯の私が結び付かないのだろう。


