「良かったぁ。お父さんにはまだまだ働いて貰わないと困るもん。そろそろ新しい服とか欲しいからさ」
「その理由!?」
姉妹で反応は似ているけど、何か違う!
やっぱり海と私は似てない!
「そうだけど。だってお父さんが働けなくなったらお母さんだけの収入じゃキツいでしょ」
「確かにそうだけども……」
間違ってはいないけど、言葉にせずに単純にお父さんが心配。居ないと寂しいとか言おうよ、海。
お父さんの前でそれ言ったら、お父さんへこむから。
海へとじと目を送るも、なに食わぬ顔で近くにあったヤスリを手に取り自分の爪を整え出す。
うん。海はこういう子だ。
ここで私が何かを言っても、黙らさせられるのは私の方になるのなんて目に見えている。
こういう時は、もう何も言わないに限る。
一度軽く溜め息を吐くと、さっき電話でお母さんが言っていた言葉を思い出して口を開いた。
「あっ、そういえばお母さんかお父さんのお見舞い行ってあげてだってさ」
「えー、忙しいのに」
「海、忙しかったっけ?部活してないよね?」
ここ数日、夏休みだから家で海と一緒にいるが、基本家でゴロゴロしながらテレビを見ている姿しか見ていない。
強いて言うなら、たまにふらっと出掛けてるみたいだけど。
首を傾げる私に向かってギロッと睨み付ける様な視線を向けると、
「デート!健次と暇な日は全部デートなの!」
大きな声が部屋に響いた。


