「そっか、良かったぁ」
ほっと胸を撫で下ろすと同時にそう口から言葉が自然と漏れ出る。
本当に良かった。
兎にも角にもその一言に尽きる。
『まあ、折角夏休みで家に居るんだから、お父さんのお見舞いにでも行ってあげてね』
「あー、うん」
へらへらと笑いながらそう言っているらしいお母さんに曖昧に相槌を打つ。
『じゃあ、そういう事だから海にも伝えといて』
「分かった」
最後にじゃあねとだけ言うとお母さんからの電話が切れた。耳に届くのはプープーという通話が終わったという音のみ。
耳から電話を離すと、ふうっと息を吐き出す。
まさか、お父さんが入院とは……。
心配だぁ。早く退院出来たら良いんだけど。
思いもよらない事が起こるってこういう事を言うんだろうか。
そんな事を考えながらふらふらとリビングのソファーに座っている海の方へと歩いて行く。
ソファーの前まで来て海の隣にストンと腰を下ろすと、
「お姉ちゃん、電話誰から?」
海が私の方に顔を向け、こてんと首を傾げた。
迷惑電話だったら、電話が終わった瞬間にグチグチと文句を言っている事が殆どなのに、今は何も言わない事を不思議に思ったのかもしれない。
「お母さん。お父さんが盲腸で入院したんだって」
「うそっ!マジ!大丈夫な訳!?」
「お母さん曰く、大丈夫そうみたいだよ」
先程の私と同様に驚いて、私と同様にほっと胸を撫で下ろすと海。
流石姉妹という感じだ。


