頭に浮かんだ考えを振り払う様に思い切り頭を振ったその時、
ジリリリリリ!!
頭に響く大きな電話の音。
音を鳴らしたのは、やっぱり私のスマホじゃなくて、どうでもいい家電だ。
時計を確認すれば、既に夜の7時を回っている。
迷惑電話にしても、本当に迷惑な時間に掛けてくるもんだ。
チラッとソファーに座ってテレビを見ている海に目を向けたが、動く気配は一切無い。
渋々席を立ち、鳴り響く電話へと歩を進めていく。
「もしもし」
受話器を手に取り、耳に当てると誰しも言う言葉を口にした。
『もしもし!泉!?お母さんだけど!』
電話口から聞こえてきたのは迷惑電話の相手ではなくて、お母さんの声だ。それも凄く慌てている様な声音。
「えっ、うん。泉だけど。どうしたの?」
お母さんの慌てぶりに圧倒されながらもそう聞くと、あのね、あのね。と落ち着きが全く無い状態で声が続く。
『お父さんが盲腸で入院しちゃったの!だから、今日は家に帰るの遅くなると思うから』
にゅ、入院!!
どういう事ですかい!?
「わ、わわわ分かった!お父さん、大丈夫なの!?」
兎に角分かったとは言ってみたものの、お父さんが今どういう状態なのかが全く分からなくて、一気に頭が真っ白になっていく。
そんな私のプチパニックを落ち着かせるのは、先程まで電話口で慌てた口調で話していたお母さんだ。
『今手術中だけど、多分大丈夫だと思うわよ』
さっきとは打って変わって落ち着いた優しい口調で紡がれるその言葉に真っ白になった頭の中にゆっくりと色が戻っていく。


