まあ、夏休みに入って二日経った日に、あれ?私、梶木君のライン知ってるじゃん!と思い出したのだが。
『何で!?』
『忙しい』
『梶木君、不足です(´;ω;`)』
『哀れ』
『酷っ!!』
そう文字を打った所でテーブルの上にスマホを置く。
梶木君から、この後に続く言葉が届いた事が一度もない。
もうこのスマホは鳴らないんだ。
はぁ…と溜め息を吐くとテーブルへと突っ伏した。
梶木君からのキスは事故みたいなものだと分かってる。けど、少し位優しくなってくれても…って思っちゃう今日この頃。
私の心をどんどん捕らえていく癖に、梶木君の心は一切私にやって来ないっていう切なさが痛い。
さっき海が言っていた、誰か別の好きな人を私に映してキスをしたとかだったら、めちゃくちゃ嫌なんですが。
梶木君にひたすらくっついていた訳だから、自分で言うのもなんだけど彼の事を結構知ってると思う。
その中で彼に今『彼女』というものは存在していない事も知ってる。この情報は初めて会った瞬間に彼に直接聞いている。
これでも空気を読む私は、梶木君にもし彼女がいたら、梶木君にくっついて匂いを嗅ぐ女がいたら嫌だろうなという配慮からだ。
うん。我ながら大人な対応。
でもだ。……梶木君の好きな人っていうのは分からない。
それを知っているのは梶木君だけだから。
そういえば、梶木君って、たまに切なそうな目をしている事があるんだよね。
まさか……ね。


