「まあ、分からなくもないんだけどね。夏祭りは他の所と日にちが集中するから、こんな田舎町の祭りは人を持っていかれちゃうんだろうね。私は、……夏の方が良かったけどな」
徐々に小さくなっていく自分の声音と共に、頭を過るあのおばあちゃんの顔。
今でも、もしかしたら会えるかも!という期待を込めて毎年お祭りに足を運んでいる。
「マジ!迷子になるのに!?」
そんな私にニヤニヤした顔をして海がそう聞いてくるのは、私がお祭りで迷子になったのを散々お母さんに聞かされているから。
「何年前の話じゃっ!」
私が5歳の時の話。
もう何年も前の話。
夕飯も食べ終わり、リビングでソファーに座ってテレビを見ている海と食卓に座ってスマホと睨めっこする私。
この時間、スマホと睨めっこするのは夏休みに入ってからほぼ毎日だ。
梶木君不足の私は、彼に何とか会おうと連絡しているわけだ。
ラインで。
『梶木くーん!明日か明後日遊びませんか??』
直ぐに既読の文字が付き、それに続いて帰ってくる返事。
『嫌』
たった一言ですか……。
梶木君の返信スピードははっきり言って速い。が、基本一言という。絵文字もスタンプも『。』すらも無い。
梶木君に会った初日に強引に聞き出したラインIDだったが、今までは特に使ってもなかった。学校に行けば梶木君に会えていたのだから。
でも、梶木君に会えないとなるとこんなに役立つ優れものだ。


