「ここの角を曲がったらもうすぐか」
独りでそう言いながら、角を曲がる。
全体的に敷地面積の広めの大きな家が多く、造りも昔ながらの木造住宅という感じのものが殆どだ。
一軒一軒表札を確認して進み、三軒目に目を向けたその時、その家の前で足が止めた。
あった。……梶木の表札だ。
ここが、梶木君の家だ!
周りの家と同じで、少し古い印象を受ける昔ながらの木造住宅。引き戸の玄関がなんとも趣がある。
ああ、もうすぐ念願の梶木君に会える!
どうしよう。……凄いドキドキしてきた。
恐る恐る玄関の横に取り付けられているインターホンへと指を伸ばす。
その指が若干小刻みに震えているのは、明らかに緊張しているせい。
ドキドキが頭に響く。
梶木君にもうすぐ会えるっていう嬉しさと、初めて好きな人の家に来たという緊張感が入り交じった変な気持ちだ。
すぅっと息を吸い込むと、意を決してインターホンに添えていた人差し指に力を入れた。
ピンポーン!
その音が響くと、制服のスカートをギュッと掴んだ。
もう心臓はドキドキし過ぎて壊れそうだ。
インターホンから聞こえてくるだろう声を待っていたのだが、インターホンからではなくガラガラッと引き戸が開き、
「はーい。どちら様?」
という可愛らしい高めの声音と共に、顔を戸から覗かせる美人さん。
焦げ茶色の腰までのロングヘアーにパッチリとした大きな目。
思わずその目に吸い込まれそうになる。


