小夏の家の前にチャリを止めて、深呼吸する。 自分が落ち着いたのを確認してから家に入った。 「…ただいまー…」 ――応答なし。 中からは、何の音もしない。 聞こえるのはテレビの音くらい。 「…小夏……?」 心配になりながら、そっとリビングのドアを開けた。 キッチンに目をやると、小夏の姿が――… ――――…ない。