今、この空気に便乗して『好きだ』って言えたらいいのに。 そんなことオレには無理っぽい。 「……自惚れすぎじゃん?」 くっついていたオレたちの体が離れる。 小夏の顔を見ないで済むようにオレは白い息を見ていた。 「…オレの彼女はサッカーですし。女の子と一緒にいるよりサッカーしてる方が楽しいよ?」 寒さのせいか、かさつく唇。 冷たい手の平。 そんな景色の中、オレは心の中で小夏に想いを伝えていた。 何回も、何回も。 届かないなんてこと、わかってるはずなのにぶつけてしまう。 .