カバンを拾う小夏が顔を上げた。 ―…涙目 「……小夏!!」 やっと出たのは言葉。 ばか…動けよ、足。 最後に一瞬だけ目が合った小夏の顔は苦しそうに歪んでいた。 「…小夏…!!」 『行くな』そう続けたかったのに 「―…ごめんね!!」 その言葉は口に出すこともなく消えていった。 .