「うん!可愛い!」

彼の何気ない一言。

それが二人の原点だった。


…………………………………



「ふぁあ〜……眠い…」

今日もまた

大きなあくびとともに
長い一日が始まる。


「なーんか良い事ないかなぁ?」


*新條 美羽(16)
《シンジョウミウ》
鈍感。天然バカ。




「っっ!美羽!美羽ってば!」

息を切らしながら
駆け寄ってきたのは親友の千咲。


*泉 千咲
《イズミチサ》
しっかり者。頼れる親友。

「わ、千咲ぁ〜!!!おはよう!」


「おはよぢゃないよっ!あたしが何回呼んでも気づかないんだからぁ〜。」



「ごめんごめん泣」


そんなこんなで
あたし達は毎朝仲良く登校している。


高校に入学して約半年が過ぎていた。


何もかもごく普通な毎日。
平凡な学校生活。

きっと、普通が
いちばん幸せな事だ。


「ねっ、ねっ、周り見てよ美羽。」

ふと千咲に言われ辺りを見回してみる。


わ…。あたし達、完璧場違いだ。



そう…

あたし達の周囲には

朝っぱらからピンク色に染まってる

カップルでいっぱいだった。


「千咲…いこう…」

千咲の手を引きながら
そそくさとカップルを抜いて行く。


「彼氏欲しい…」

ボソッと千咲が呟いた。

「あたしがいるぢゃ〜ん!」


「や、遠慮しとく〜」


千咲との
こんなやりとりが楽しい。



「でもさぁ〜美羽って何気モテるよね。」


「え…それはないよっ!笑」


「逆に、美羽が恋してない時ってあるの?笑」


「え…。」

思わず戸惑うあたし。