その瞬間

ふわりと宮野くんに包まれる。


「俺もけっこう余裕あるフリしてたけど

やっぱお前から来られるとダメだな」


耳元から流れてくる言葉は

すぐ私に伝わって笑顔にさせる。


宮野くん……、余裕あるフリしてたんだ。


初めてはお互い同じ。

恥ずかしいのも、顔が赤くなるのも

タイミングは違ってもきっと、同じなんだ。


「なぁ」

「何?」

ぎゅっと宮野くんの背中に手を回して

そう問いかけると、宮野くんは言った。


「これじゃ足りないって言ったら

もっとお礼してくれんの?」