立ち上がり彼の上から退くと、不思議そうに目を見開き固まった先輩が視界の端にうつり込んだ。


「…で、」


言葉がよく聞こえず、先輩?と再度聞き返し首を傾げると、はっとしたのか先輩はそっぽ向いてしまった。何か悪いことしたかな?


『あの…、』

「名前、」

『、え?』



ーー何処で知ったの?


との問いかけに、手のひらをぽんと打って、先ほどの経緯を話した。話していくうちに私わ真っ青、対照的に彼は真っ赤になっていった。なぜなら、


「あンの、クソ教師!!」


床を握りこぶしで一度叩いた彼は、ブツブツと私から背を向けるように座り直し、小声で何か呟いていた。


「あんた、」

『、はい!』

「元気いいなー、名前は何て言うんだ?」

『ーーああ、えっとですね……』




ーーそして、私と彼。お互いに名前やらどの辺に住んでいるやら、見回りに来た教師に声を掛けられるまで、私達は飽きることなくひたすら話し込んでいた。








1粒目、はいいろどろっぷ。完