たわいもない話をして、気が付けば各クラスに生徒は分散していて、これから各自教室に向かうとのこと。
『やっと、教室紹介かぁ、何だかんだで長かったなぁ』
さつきくんがそれを聞いてくすりと笑った。
「なんで?その分楽しめるじゃん!しかも、同じクラスでよかったよ!クラス割りの仕方すげー気になるけど」
と、爽やかに笑って言った。
前向きだなぁ、なんて他人事のように私は考えていた。
ぱこん、と何かが頭に当たる。頭をさすり、その何かを見てみれば
『――あ、先輩』
「何、ボーっとつったんてんだ。早くクラスのみんなと教室に行け」
そう、振り向けば青葉先輩で。彼の指した方向には私たちのクラスが教室に向かおうと歩き始めた矢先だった。
『あ、すみません!それじゃ、失礼します』
慌てて頭を下げれば、私はその列に紛れ込んだわけだが。なぜか、さつきくんだけが先輩に捕まる形となった。
「こいつにゃ、用があるから先に戻ってろ」
先輩はそう言い残して、なにか言いたげなさつきくんと何処かへ行ってしまった。
私は気にもとめず、そのままみんなと教室に戻っていってしまった。まさかあんな会話が繰り広げられていただなんて、誰が想像しただろうか。
.

