「新入生の皆さん、ご入学、2年と3年の皆さんも進級おめでとうございます。これから、全校集会を行いたいと思います。さらにーー」


ああ、どの学校も校長の挨拶って長いんだなぁ。1時間くらいした頃からだろうか。ちらほらと体育座りをといて崩して座ったり、隣と人と話したり、寝たり、様々な様子が見て取れるようになってきた。ぶっちゃけ、私も暇だ。それに、まだ友達も出来ていない。本来ならばあの日に教室の場所を案内されて、軽く注意事項を聞いて、解散する筈だったのに。そういえば、あの先輩はどこにいるんだろう?新入生は一番前に座っているので、人数とクラスの多さ的にきっと後ろだと思うんだけど。何せ、マンモス校だからなぁ。後ろをちらりと見たものの、人数の多さに頭が痛くなった。


『この中じゃあ、見つけられないよなぁ…』


ぽつりと呟いた私の言葉に隣に座っていた男子生徒がこちらを見て尋ねてきた。もちろん、小声で。


「誰か探してんの?」

『あ、うん。入学式の時に来たあの先輩』

「あの人なら、いちばん前の左端に座ってるよ」

『え?どこどこ?』

「ほら、生徒会とか居るあたり」


ーーほんとだ。ハイプ椅子に持たれるようにして座り、脚や腕を組み寝てる。こんな状況の中寝てるよ、あの人!


「あの人、知り合いか何か?」

『いや、ある意味命の恩人…?』

「なんで疑問形?」

『それはーー』


続きを言おうとした私の言葉を遮ったのは、態とらしい大きな校長の咳払いだった。それを合図に、また静かになり、私達も従うように前を向いた。


「また後で聞かせて、」

『うん、分かった』


コクリと頷き、会話は咳払いと共に終了した。そういえば、彼の名前聞くの忘れちゃったな。ま、いいや。今度会えた時で。ーーなんて、思っていると


「それではこれからクラスごとに分かれてもらいます。各クラスの担任は前に出て1組から順に名前を上げてください。呼ばれた人は、速やかに担任の先生の前に呼ばれた順に整列してください。」


それではお願いします、の校長の言葉を最後に担任らしき教師がぞろぞろと前に出てきた。代表らしき人物が


「それでは、1組から順に名簿順で呼ぶので呼ばれた人は、その先生の前に整列してください」


そして、徐々に呼ばれていき、1組の人数が達したのか次いで2組に移った。あたし、友達できるかな。何組かは、それぞれ自分で把握しているけれどこうやって集団で知り合うことはまずなかったし。3組のメンツが気になる。すごく。ほら、あたしくじ運悪いし。