「江口さん、いなかったね。」



怖くて下を向いたまま通りすぎた昇降口。

その間、ずっと理稀が
あたしの手を強く握っていてくれた。




「ああ。」


「先に帰ったのかな。」


まだ少し怖くて、話を終わってしまうと
一人になりそうで、

とにかくしゃべり続けるので必死だった。




そんなとき、


「………望美。」


と真剣な表情の理稀。




「なに?」


「もし何かあっからすぐ俺に言えよ。
絶対、一人で抱え込むなよ。」


「うん。ありがとう。」