『ねぇ、陽菜キスしよう』

『何言ってんの?嫌だよ…』

『ふーん、じゃぁ…無理やりするっ』

『はっ?何勝手にっんんっ』





「…キ……ス…きゃぁあぁぁあぁぁ!!!!」


ガバッと音をたてて被っていた布団をほおり投げた。


朝はいつも苦手で、こんなにガバッなんて布団から音をたてたことなんて一度もなかった。

けど今日は、布団から音が出た。

これも自分が見た夢のせい……。


「なにやってんだ……お前…」


ドキドキしている心臓に胸をあてていた私の隣から、聞き覚えのある声がした。


「きっきゃぁぁあぁぁぁあぁあ新一!!」

「人のこと見て叫ぶのやめてくれます?」


新一は、私を軽く睨みながら、少しムスッとしている。


でも私は恋愛豊富な女じゃないから、たかがドキドキした理由が夢でも、そんなものを夢の中で見てしまったあと男と話したり、男見たりすると顔が火照っていくのがわかってどうしようもない。

それに……夢で見た…無理やりキスしてきた男が新一だったからなおさら…。


「えっ!?でもっでもっきゃぁあぁああ、新一とキスしちゃった!!」

寝ぼけている私は、まださっきのが現実だと思っている。

「はっ?してねぇよ?」

首をブンブン横に何回も降りなおす新一。

「えっでもっ!!さっき!!…って…………あれ?夢?」

「おバカさん♪」

新一はニカッと笑いながら私の頭を、すりすりと優しく撫でてきた。