寺山家と平野家は、お互い隣同士に住んでおり、隣同士の距離はわずか一メートルほど。
寺山夫妻と平野夫妻はすごく仲がよく、寺山家に子が宿ると、その一ヶ月後に平野家にも子が宿った。
その当時、寺山家と平野家は海の近くに住んでおり、決して都会と言う場所ではなかった。
ある日、寺山夫妻と平野夫妻がいつものように、仲良く買い物に行った時だった。
ふと、空を見上げた寺山夫妻は、何か思い付いたように声を揃えた。
「この子の名前は、空にしよう!」
唐突の命名に、平野夫妻は少し戸惑ったが、すぐに笑みを浮かべた。
「それじゃぁ、この子の名前は海だ」
平野夫妻も、まだ産まれるまで少しかかる赤ちゃんに優しく語りかけた。
