「んだよ、お前ついてきたのかよ」
「キャプテン命令に決まってるでしょ」

校門の前で軽く体操をしていた速水を睨むと、速水はうっと言葉を飲み込んだ。

「早くしないと、練習終わるよ??」
「その時は自主練する」
「ほんと、バカだね」
「うっせ、しっかり何周走ったか数えとけよ」

速水はそう言うと外周を走りに行く。
私は一人、校門にもたれて目を閉じた。


「おい、寺山。おい」
「………!?」
目を開けると、そこには汗だくの速水の姿が。
「お前、マジでこの態勢で寝てたのかよ」
速水はじーっと私を見て、ぶっと吹き出した。
「…っ!」
恥ずかしくて言い返せない。
とりあえず私は、速水の鳩尾を殴ってやった。

体育館に戻ると、練習はすでに終わっていて、最後のミーティングだけだった。
速水は早速栗田先輩達から説教をうけ、げっそりした顔で帰る準備をする。

「自業自得」
「…ちっ」

軽く頭を叩くと、速水は私を横目で見て、舌打ちをした。