速水はハンドリングの手を止めて、シュートをうつ。
綺麗な弧を描いたボールは、ネットをくぐる。
それを見ていた俺は、速水にきく。
「なんか。お前練習試合よりフォームよくなってね?」
「そうか?」
「前見たときより、シュートが入ってるしよ…」
「あぁ、寺山のアドバイス…、てか、指導のお蔭でな」
空の名前を聞いて、ぴくりと反応する。
そして、また何かむずむずしたものが湧いてくる。
「空が?」
「自主練の時によ、半ば無理矢理にフォームの改善された。でも、前よりよくなってて、ちょっと寺山の事すげぇって思った」
そう言って、速水はボールを拾い、またシュートをうつ。
モーションに入った速水を見て、俺は素早く立ち上がって速水からボールを奪う。
「っ、おい!」
「お前さ、空のことどう思ってる?」
「は?」
俺が聞くと、速水は首を傾げる。
そして、頭を掻いて考える。
「別に、俺は寺山の事…」
「練習の時だって、お前、空と一緒だったろ?」
「あれは…!」
速水がそういいかけたところだった。
遠くから、空が速水を呼ぶ声がした。
「速水ぃ!もうとっくに夕飯の時間なのに、なにやってるのー!」
「げ、マジで?」
空の声に、速水はびくりと体を震わせる。
足音が近づき、空の姿が街灯で照らされる。
「いた!先輩達、すごく怒ってるよ!早く!」
「もうそんな時間かよ!」
「携帯持ってないし、なにやってるの!」
「やべぇ!早く戻るぞ!」
「そーだよ!…あ」
空が俺に気づき、気まずそうに視線を外す。
「空」
俺が名前を呼ぶ。だけど、俺の声は空に
届かず、空は速水に連れられて合宿所に戻って行った。
「…くそ」
一人ストバス場で呟く。
すごく自分に苛立って、しばらく俺はその場で時間を過ごした。
