空、海


「おっしゃ!俺の勝ち!」
「はっ…!お前、俺、今体力ねーんだから、手加減しろよ!」
「ペナルティもらったお前が悪い」

速水はニヤニヤと笑い、右手でハンドリングを始める。
俺はそんな余裕な速水を睨み、座り込む。

「…なんで笑ってんだよ」
「あ?笑ってたか?」
「笑ってるっつーか、にやけてる」
「は!?マジ?」
「無意識とか、なんだよ、お前」
「あー、なんか、昔のこと思い出してよ」
「は?」

速水はハンドリングの手を止めて首を傾げる。
俺は緩みまくる頬を手で隠す。

「俺がまだ中学の時まで住んでたとこと、なんか似てるなってよ」
「それだけでにやけたのか?」
「いや。なんてゆーか、わかんねぇ」
「もしかして、寺山か?」
「んー?かもなぁ。よく、ここと似たストバスでバスケしたんだ」
「ふーん」
「俺、一回も勝てなかった」
「は!?」

速水は目を見開いて驚き、ボールを落とす。
俺は夜空を仰ぎ、息を吐く。