あの日から、数年後


「んじゃ、次は一年。一人一人自己紹介な」

バスケ部キャプテンの栗田一也先輩が、くるりとこちらを向く。
一通り先輩の自己紹介が終わり、一年の順番が回ってきたのだ。
「んじゃ。まずはそこの君から順番な」
「てか、栗田。もう全員知ってるし、自己紹介なんかしなくていいじゃん」

ベンチに腰掛け、めんどくさそうに欠伸をするのは副キャプテンの三渕誠也先輩。
やる気0の発言に、栗田先輩がジロリと三渕先輩を睨む。
「三渕。お前だけメニューを倍にしようか?」
「悪かったって!」
三渕先輩は両手を上げて栗田先輩に謝る。
栗田先輩は大きな溜め息を吐くと、「んじゃ、よろしく」と自己紹介を再開した。

「速水将太です。小学生の時からバスケをやってます。よろしくお願いします」

速水将太くんは、軽く頭を下げて終了した。
あまりに無愛想な自己紹介に、私達はポカーンとする。
「じゃ、じゃぁ、次!」
三渕先輩が仕切り直し、次々に自己紹介をしていく。