「よし、人数確認するぞー。平野はいるな?」
「いるっすよ!なんで集合10時なのに俺2時間前に引っ張り出されてんの!?」
「平野、うるさい」
「理不尽!」
「すっかりいじられ役だね」
「お前が俺の部屋に押し掛けてきたんだろ!」

朝からホント疲れる。
なんなんだ、このチームは。
俺はこっそりと溜め息を吐く。
凛海の練習試合が行われる会場に電車で移動し、そこから徒歩で歩く。

ちなみに、今回偵察に行くのはレギュラーメンバー➕マネージャーの塩野と監督だ。

試合会場の客席に座ると、同時に凛海とその対戦校がアップを始めた。

「相手は県大会ベスト16の少し手強い相手だな」
「ま、どっちが勝っても関係ねーじゃん?公式戦じゃねーし」
「あ、先輩。あの人が速水将太くんじゃないですか?」

塩野が指差す方を見ると、誰かと話している速水将太の姿があった。

「ふぅー。なんか、いかにもエースって感じだな」
「うちのエースと大違いだな」
「いいすぎっすよ!先輩!」

先輩達に大声で突っ込み、アップをしていた両チームがこちらを向く。
勿論、速水も。
そして、速水の後ろから顔を出したのは…