「平野、この寺山さんと知り合いなの?」
放課後、俺と塩野は鬼教師と呼ばれる教師の授業で見事に爆睡し、罰としてくそ広い図書室の掃除を言い渡された。
図書室にはあのバスケ雑誌が置いてあり、それを見つけた塩野が読み、俺に聞いてきた。
「は?なんで」
「だってさ、昨日ずっと見てたでしょ?」
「知ってたのかよ」
「ずっと部室で見てたからね」
塩野はニッと笑い、「どういう関係?」
と雑誌を突きつけて聞いてきた。
「幼馴染みだよ」
「は?それだけ?」
「それだけ。ただ、雰囲気が変わったなとか、そんな事思ってただけだよ」
そう言って俺は雑巾片手に窓をふく。
塩野はぶーぶーと文句を言ってたが、すぐに掃除を再開した。
広い図書室に、静かな時間が流れる。
そんななか、塩野はなにか思い出したように、「あ」と声をあげた。
「そういえば、キャプテンが言ってたけど、次の土曜日に凛海の試合見に行くって」
「っ!?うわっ!?」
椅子に乗って窓をふいていた俺は、見事にバランスを崩して椅子から落ちた。
「大丈夫!?」
「悪い…」
塩野が伸ばした手をとり、立ち上がる。
「動揺しすぎ」
「してねーし」
「あの速水将太くんの実力を偵察しに行くんだって」
「いや、聞いてねーし」
「次の土曜日、サボっちゃ駄目だよ?」
「いや、何話勝手に進めてんだよ!?」
雑巾を投げると、塩野は軽くかわして笑う。
「雑巾投げたら駄目だぞー」
「んじゃ、お前が当たれ!」
「やーだ」
「塩野ぉぉぉぉ!」
