凛海…、空が行ったとこか…。

「誰だよ、ヤバいやつって」
「聞いて驚け。速水将太だ」

森田先輩の言葉に、騒ぐ体育館。
「速水将太…」
「勿論、平野は知ってるよな?」
「…はい」

森田先輩が雑誌を投げ、俺はそれを受け取ってページを捲る。
凛海高校バスケットボール部

ルーキー、速水将太

速水の写真つきで、凛海高校の記事が書かれている。

先輩の話によると、京斉高校と凛海高校は昔から全国常連の強豪校らしく、毎年争っているらしい。

「今回はもっと手強いな」
「何言ってんだ。こっちにはエースの平野がいるぜ?」
「変なプレッシャーかけるのやめて下さいよ」

先輩達に苦笑し、再び誌面に目を向ける。

レギュラーメンバーの顔写真と名前が載っていて、その端に、小さくマネージャーの写真が。

寺山空

空の顔写真と共に載っていた。

なんか、変わったな。

そうぼんやりと思いながら、じっと空の写真を見つめる。

「あれー?もしかして、平野くんはこのマネージャー見てたー?」
「っ!?森田先輩、何言ってんすか!?」
「確かに可愛いーもんなー」
「そんなんじゃねーっすよ!!」

俺から雑誌を取り上げ、にやにやした笑みを浮かべておちょくる森田先輩に、俺は必死に否定する。

空、また、お前に会いたい。