ゼルが開けてくれたドアから外に出ると
そこはすぐに一面リンリン畑だった
全部咲いたらどれだけすごい景色になるか
想像してレイは息を飲んだ
「こちらが品種改良されたリンリンの資料になります。機密資料につき他言厳禁でお願いします」
薄い資料集を渡されてペラペラとめくって見た
栽培方法や発芽した芽の保存方法などが記載されていた
見た限りでは特別な薬品などは使われていない
花の色がよくなる肥料が少々使われている程度で
薬品や遺伝子の組み替えで品種改良したと思っていたレイは少し驚いた
「土が柔らかくなっているので足元に十分お気をつけください。履物が汚れてしまうのでこちら、どうぞ」
ゼルがヒールのない靴を差し出してくれた
が、レイは視線を少し落とした
「あの…裸足で入っても…いいですか?」
レイの申し入れに最初ゼルはとても驚いた顔をした
でもすぐににっこり笑って小さく頷いた
「すぐに足を拭く用意をしてまいります。硬い土片にお気をつけくださいね」
ゼルの優しい対応に
レイは笑顔を返し、靴を脱いで傍に揃えて置いた
冷たい土の感触が気持ちよかった
今にも咲きだしそうなほど大きな蕾はレイを隠してしまうほどの背丈がある
今レイの目には白い蕾と
細いのに花を支えられるほど力強い鮮やかな黄緑色しか映らなかった
「どうして咲かないんだろ…」
きょろきょろしながら呟く
全部大きな蕾をつけていて
いつ咲いてもおかしくないはずなのに
蕾を撫でてみると
少しだけリンリンの香りがした
そのとき
すぐそばのリンリンが揺れた
ほんの一部だけ揺れるリンリンに驚いてそちらを見ていると
ひょこっと顔が現れた
「ひゃっ…」
あまりに驚いて情けない声が出てしまった
リンリンから突然現れた顔は訝しげに眉を寄せる
「…誰だ?お前…」
それは甘く低く
レイの鼓膜を優しく揺らした
眠そうなタレ目
その目尻に並ぶ二つのホクロが妙に妖艶で
レイは動けないまま彼を見つめていた
「…おい聞いてんのか?」
また甘く低い声に痺れるような感覚でレイは我に返った
無視されて彼の眉はなおのこと不機嫌さをあらわにしている
そこはすぐに一面リンリン畑だった
全部咲いたらどれだけすごい景色になるか
想像してレイは息を飲んだ
「こちらが品種改良されたリンリンの資料になります。機密資料につき他言厳禁でお願いします」
薄い資料集を渡されてペラペラとめくって見た
栽培方法や発芽した芽の保存方法などが記載されていた
見た限りでは特別な薬品などは使われていない
花の色がよくなる肥料が少々使われている程度で
薬品や遺伝子の組み替えで品種改良したと思っていたレイは少し驚いた
「土が柔らかくなっているので足元に十分お気をつけください。履物が汚れてしまうのでこちら、どうぞ」
ゼルがヒールのない靴を差し出してくれた
が、レイは視線を少し落とした
「あの…裸足で入っても…いいですか?」
レイの申し入れに最初ゼルはとても驚いた顔をした
でもすぐににっこり笑って小さく頷いた
「すぐに足を拭く用意をしてまいります。硬い土片にお気をつけくださいね」
ゼルの優しい対応に
レイは笑顔を返し、靴を脱いで傍に揃えて置いた
冷たい土の感触が気持ちよかった
今にも咲きだしそうなほど大きな蕾はレイを隠してしまうほどの背丈がある
今レイの目には白い蕾と
細いのに花を支えられるほど力強い鮮やかな黄緑色しか映らなかった
「どうして咲かないんだろ…」
きょろきょろしながら呟く
全部大きな蕾をつけていて
いつ咲いてもおかしくないはずなのに
蕾を撫でてみると
少しだけリンリンの香りがした
そのとき
すぐそばのリンリンが揺れた
ほんの一部だけ揺れるリンリンに驚いてそちらを見ていると
ひょこっと顔が現れた
「ひゃっ…」
あまりに驚いて情けない声が出てしまった
リンリンから突然現れた顔は訝しげに眉を寄せる
「…誰だ?お前…」
それは甘く低く
レイの鼓膜を優しく揺らした
眠そうなタレ目
その目尻に並ぶ二つのホクロが妙に妖艶で
レイは動けないまま彼を見つめていた
「…おい聞いてんのか?」
また甘く低い声に痺れるような感覚でレイは我に返った
無視されて彼の眉はなおのこと不機嫌さをあらわにしている
