周りも突然降り出した雨から逃げていた。

「おい、こっちだ」

部長がシャッターが閉まっているどこかの店の軒下を指差した。

わたしと部長はそこに駆け込んだ。

「もーうっ!」

わたしは頭のうえに乗せていたカバンを下ろすと、そこからハンカチを出した。

突然の雨に、頭から足までびしょ濡れだ。

天気予報では1日晴れだって言ってたじゃないかー!

怒りながらハンカチで水滴をぬぐっているわたしに、
「…きゃっ」

後ろから突然伸びてきたたくましい腕に、抱きしめられた。

えっ、何?

後ろを振り返ると、
「――部長…?」

黒髪の毛先からポタリ、ポタリと落ちる滴が首に当たって冷たい。