「私が選んだら、って、なんですか、それ?おっかしい。笑いがとまらないです。」
「そ、そうだよね。」

俺は乾いた笑いしか出なかった。

「じゃあ、大野先生は恋の神様かな?私はしもべってとこかな?お社立てなくちゃですよね。」
「御利益あるかな?」

にこにこしながら、ないでしょうね、と笑い飛ばしてくれた顔を見て、なんだか些末なことにとらわれた自分が恥ずかしくなった。

「たぶん、もともと近づきたいと考えていた二人の、背中を押した率が高いのかも。」
「そうかもな。」
「まあ、たまたま偶然がかみあった、確率の問題みたいなもんですよ。」
「でもすごいなって思った。」

彼女はいやいやいや、とかぶりをふった。

ほっとしたし、用事が済んだので、職員室に戻ることにした。ポケットに手を突っ込んだとき、ふと触れた飴玉に気づいた。