「ねーねー、先生、知ってる?」
「知らない。」
「いや、まだ言ってないし。」

視線の先で、千佳が金沢先生に話していた。知っていても言えないことが、自分の首をジリジリと絞めているような気がした。

なんできちんと理解しようとしないかな…

金沢先生は何度も、生徒は生徒としてしか見れないって言っているのに、なにかの携帯小説にでも毒されたのか、気持ちは揺れ動くから、とかなんとか言い訳つけているようにしか見えない。

「そんなこと言ったら、今までなんで噂にならなかったかとか考えたか?あとは自分で立証したら?」

金沢先生、グッジョブ。

「うーん、そうするかな…」
「バカなこと言ってる暇あったら、練習しろ。」

立証できないことを、いつ言うべきか…

「じゃあ、裕作、図書室行くとき誘ってよ。」
「断る。」
「えー、ケチ。」

ケチでもなんでも、言えばいい。