タマはタクミの親友だ。同じ中学、高校で、専攻は違えど、大学も一緒になったという。部活の剣道で競いあい、しょうもない話を山ほどした、そんな仲なんだ、と、タクミが紹介してくれた。

でも、初めてタマに会ったとき、私は気づいてしまった。その笑顔の奥の、寂しそうな目の色に。

タマと話す機会が出来たときに、私は彼に切り出した。そこで私は知った。本当はずっとタクミが好きだったことを。私以上に深く深く。

人の気持ちを察する力が強すぎるから、少し鈍感になったほうがいいと、タマは私に言ったっけ。

「遠距離ってほど遠くもないし、あれだけウマが合う仲見たことなかったから、聞いてビックリした。」
「ごめん、言わなくて。」
「謝ることじゃないけど。」

隠すつもりはなかった。ただ、うまく言い出せなくて、そのままになっていた。タマに心配をかけたくなかった。就職が決まったとこから、すでに心配かけまくっていたから。