昨日酒を酌み交わした相手と、その時の会話と、今、抱えている想いから、あの夢を見たのだろう。

「言いたくても、近づきたくても、今のタイミングではないだろうし。」

成人を越えてなければ、犯罪だもんな、年の差が。それに、彼女は社会人2ヶ月を終えたところだ。

「俺も結婚してなければな…」
「あー?」
「いや、それだけ、魅力的な女性だと思いますよ。」

魅力的、か。

一番信頼している後輩の町田もそう思うぐらいなら、生徒も他の先生方も、同じように考えているかもな。

胸の奥の居心地が悪い。昨晩のアルコールの余波だろうか、うまく寝付けていなかったツケだろうか。

ため息をひとつついて、起き上がり、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを出して、一口飲んだ。

壁の時計を見ると、まだ午前4時をまわったところだった。起きるには、まだ早い。

ローテーブルにペットボトルを置いて、また寝床に戻った。