「一人暮らしは慣れた?」
「うーん、まだまだですね。」
「そうだよな。」

実家を離れてはじめて、いろいろ気づいた、って思ったよな、俺も。

「先輩的アドバイスとか、ありますか?」
「え?うーん…野菜は、カット野菜をうまく使うとか?」
「なるほどー。」
「でも、惣菜買って済ませたって、いいと思う。」

そう言いながら、俺は値引きが貼られたヒレカツをかごに入れた。

「ちょっと手前に、千キャベツあっただろ?白飯、キャベツでソースカツ丼。」

ちょっと自慢げな俺を見て、なるほどーと言いながら、彼女はニコッと笑った。

「お財布と相談しながら、うまくやる方法考えて、手を抜くってこと。」

あははと笑いながら、なんだか少しほっとしたような顔をしていた。こんな顔もするんだな、なんて、ふと思った。

職場だと、なんだかちょっと、負けないように気を張っている顔をしてたから、ちゃんとリラックス出来ているのか、心配だった。