「先生、なんでも器用にこなしちゃいそうです。」
「んなことないし。」
「なんか、電話って緊張するんです。友だちでも苦手なんです。」

まあまあまあ、と、出勤したらなにやら言い合っているという、ちょっと珍しい様子を見た町田先生が割って入ってくれた。

「こればっかりは、習うより慣れろだけど…」

と言いながら、いくつかの電話対応テクニックを教えてくれた。ポケットノートに書き込み、お礼を言った。

「あとは数をこなす、なんだけど、代表電話とかは、大抵事務局の人が取るから、たまにだろうし。」
「そうなんですよね。」
「だから、リラックス。」
「はい!」

それを見て、先輩二人はニコニコしていた。

「なんか、変ですかね?」
「いや、素直でいいなって。ね、先輩?」
「なんか、初心を忘れちゃいけないなって思う。」

二人にお礼を言い、図書室に向かった。