近いから、寂しかったら帰っておいで。

母はそう言ってくれた。

お姉ちゃん、寂しがりやだからな。

そう言って、妹が笑った。

父は体には気を付けるようにとだけ、言ってくれた。

ベッドにごろんと寝転がり、窓の外を仰ぎ見た。雲のかかった月が、ぼんやり浮かんでいた。

仕事が始まれば、今までにない、楽しみも苦しみもある。その中で、誰かを思いやる気持ちとか、近くにいない、いれないという現実で、苦しませてしまう。それが嫌だった。

でも、逃げ場にしてもいい、近くにいなくても、つながり続けることはできると、タクミに言われた。

たくさん泣いて、たくさん話した。

ぼんやり一昨日の、最後のキスを思い出した。