俺は自らを鼓舞し、冷え切った体を起こすと老朽化した母屋に向かって歩を進めた。



――うん?



背後で何かの気配を感じた。


このあたりを徘徊している野良猫でも紛れ込んできたかと振り向いたが、小動物の姿はおろか、羽虫の一匹も飛んでいない。


雪に覆われた庭が寂幕としてあるのみだ。