ピンクのコートを身にまとった二十代前半と思しき女子アナウンサーがビニール傘を片手に浮かれていた。



「テレビ局前からの中継です。あ、ご覧下さい! 小雪がちらついてきました! 天気予報ではこの雪、明日の午前中まで降り続く見込みです。久々のホワイトクリスマスになりそうな──」



俺はリモコンのスイッチを押し、他局に切り替えた。



――フン、お前に言われなくても、外を見れば雪が降っていることぐらい分かるさ。