そこにいる全員が俺に視線を向けたといっても過言ではなかった。

普段、道行く人たちが投げかけてくる視線には大きく分けて2つのタイプがある。


何か珍獣でも観察するかのような不躾な視線――。

そうでなければ、禁忌の意識と好奇がない交ぜになったチラ見――。


しかし、今ここにいる信者たちの眼差しは、そのどちらでもなかった。

俺はどうやら、三つ目のタイプの視線に初めて遭遇したようだ。


聖なるものに対峙した時、人はこういう眼差しをもって見つめるのだろう。

彼らの瞳の奥には畏怖や驚愕、そして敬虔の思いが見て取れた。


どうやら一瞬、伝説のスーパースターが光臨したかと目を剥いたようだ。


俺の顔を見て十字を切る老人には正直参った。