――イエス様、イエス様、今日もおいしい食事をありがとうございます。いただきます!


確かそんなようなフレーズだったと思う。


イエス様がイエス・キリストという神様のことだとは教えてもらったが、そいつが一体何者なのかはついぞ説明が無かった。


営業目的でキリスト教系の看板を掲げていただけで、それほど信仰心の厚い幼稚園では元々なかったのだろう。



ご多分にもれず、この幼稚園も少子化の影響で閉園し、跡地にはファミリー向けのマンションが建てられた。



「いただきま~す!」



とりあえず目の前の男が何物なのか分かって、安心したようだ。

少年は溶けかけていたチョコレートパフェにスプーンを突き刺すと、美味そうに食べ始めた。