「夕方になると、いつもふらふらしながら走ってくるんだ。あの車」

「へー、よっぱらい運転なの?」

「たぶん、そうだろう」

ミラーボーが言い終わらないうちに、その青いスポーツカーが、十字路を猛スピードで走りぬけた。

「あっ、雨が降ってきた」

「今夜は雨だな。ひろみ、濡れちまうからもう帰りな」

「うん、そうする。じゃあ、またあした会おうね。バイバイ」

「ああ、またな」