☲ミラーが笑った◎

「ああ、ろう梅のしおりね。あたしもまだ持っている・・」

優はバッグの中から一冊の本を取り出し、開いて見せた。ひろみのものと同じしおりが本の間に挟んであった。

二人並んで十字路に立ったとき、ひろみが思い出したように優に尋ねた。

「あのー、優はどうして、交通システムの研究発表をすることになったの?」

「そうそう、そうなの。あたしびっくりしちゃった。実はね、ミラーボーが居なくなってから、この町の歴史を調べてみたの。そしたらね、たいへんなことが分かったの」

「へえー、たいへんなこと?」

「この十字路はね、昔は三叉路で一里塚だったの。そしてね、ミラーボーが立っていたあたりに道租神が祭られていたの」

「へえー、そうなんだ」

「ひろみ、覚えている?ミラーボーが、自分は百年も二百年も前からここに居たって言っていたでしょ」

「うん、言っていた。そんなこと信じられなかったけど。でも・・・」