「ねえ、ミラーボー。ぼく、この前の算数のテストで30点とっちゃったんだ。ママに見せたら、きっと怒られるよ」

「ママが怖いのか」

「こわいよー。だって鬼みたいになって怒るんだもん」

「そうか。鬼みたいにか」

「うん。先生からまだ返してもらってないって、言おうかな」

「それは、すぐにばれるな」

「そう思う?じゃあ、どうしよう」

「帰ったら、ママに正直に言うんだな。“言うはいっときの恥じ”って。あれ?違うかな?」

「やっぱり言ったほうがいい?こんなとき、優はどうするんだろう」

「優は算数で百点取ったって、言っていたっけ」

「百点!それはすごいや。優、他になにか言っていた?」

「ああ、心配してくれてありがとう、って言ってくれって」

「ほんとお?ありがとうって言っていたの?」

 ひろみはテストのことなどすっかり忘れてしまい、晴れ晴れとした顔をして帰って行った。