「どこの犬だ、こいつは。早くあっちへ行け」
ミラーボーの声が聞こえないのか、犬は気持ちよさそうに小便を続けている。
「ひろみ、この犬を追っ払ってくれ」
ひろみの姿を見つけたミラーボーは、ひろみに訴えたが、ひろみはその犬が怖くてどうすることもできない。
長い小便をし終えた犬は、なにごとも無かったように、今度は南に向かって歩き出した。
「ほんとうにしょうがない犬だ」
ミラーボーはまだ怒っている。ひろみはノートを破り、砂を取ってきて、その上にかけてやった。
「ありがとーよ、ひろみ。まったく気持ち悪いったらあらしねー」
「犬はああやって、あっちこっちに自分の匂いをつけているんだって、先生が言っていたよ」
「そんなことは分かっている。だから腹が立つんだ。まったく」
「犬にもミラーボーの声が聞こえればいいのにね」
「ああ、昔はおれと話をする犬もいたんだが」
「へー、犬がミラーボーと話をしたの?」
「ああ、昔は確かにいた。でも最近はそういう犬と出会っていないな」
さきほどの犬は、どこの角を曲がったのか、すでにその姿を消していた。
ミラーボーの声が聞こえないのか、犬は気持ちよさそうに小便を続けている。
「ひろみ、この犬を追っ払ってくれ」
ひろみの姿を見つけたミラーボーは、ひろみに訴えたが、ひろみはその犬が怖くてどうすることもできない。
長い小便をし終えた犬は、なにごとも無かったように、今度は南に向かって歩き出した。
「ほんとうにしょうがない犬だ」
ミラーボーはまだ怒っている。ひろみはノートを破り、砂を取ってきて、その上にかけてやった。
「ありがとーよ、ひろみ。まったく気持ち悪いったらあらしねー」
「犬はああやって、あっちこっちに自分の匂いをつけているんだって、先生が言っていたよ」
「そんなことは分かっている。だから腹が立つんだ。まったく」
「犬にもミラーボーの声が聞こえればいいのにね」
「ああ、昔はおれと話をする犬もいたんだが」
「へー、犬がミラーボーと話をしたの?」
「ああ、昔は確かにいた。でも最近はそういう犬と出会っていないな」
さきほどの犬は、どこの角を曲がったのか、すでにその姿を消していた。



