☲ミラーが笑った◎

それから三日目の朝、朝ご飯もそこそこに家を飛び出たひろみは、十字路に出たところで、あっ、と声を上げた。

向こうに黄色いスクールバスが見える。そして、一人の女の子がちょうどバスに乗り込むところだった。

その子はちらっとこちらを見たが、すぐにバスの中に消えた。

遠ざかるスクールバスを見送って、ひろみはミラーボーに訊ねた。

「ねえ、ミラーボー、今の子が優?」

「ああそうだ。優だよ。もう少し早ければ会えたのにな」

「・・・・・・・」

「ちょっと残念だったな。ひろみ」

「きょうは学校に行けるんだ」

「ああ、きのうまでインフルエンザで寝ていたと言っていた。もう、すっかりよくなったから、きょうから学校に行くんだとさ」

「ああ、よかった。もし、帰りに会ったら、ぼくが心配していたって言っておいてよ」

「ああ、わかった。言っとくよ。それよりひろみ、きょうはいつもより早いんじゃあないか」

「うん、きょう国語のテストがあるからって、ママに早く起こされちゃったんだ」

「そうか。ママに感謝するんだな」

「うん、早く学校に行って勉強をしなさいってママに言われた」