「どうしたんだろう」

ひろみはバス停の方を見ながらつぶやいた。

「心配しているのか?ひろみ」

「ううん。心配なんかしていないよ。だけど・・・」

 いつもミラーボーを通して優と会話をしているつもりでいたひろみは、ちょっとさみしく思った。

「きっと風邪を引いたんだよね」

「ああ、いま優の学校でインフルエンザが流行っているって、言ってたからな」

 たしかに、あちらこちらの学校でインフルエンザが流行り、学級閉鎖が相次いでいた。

「ねえ、ミラーボー、あしたはきっと来るよね」

「ああ、来るさ。心配しないで待っていな」

 
翌日は朝からすっきりと晴れ渡り、久しぶりにぽかぽか陽気になった。

授業が終わり、坂を転がるように走って来たひろみが、息をはずませながらミラーボーに聞いた。

「ねえ、ミラーボー。優は通った?」

「いや、通らなかった」

「まだ、学校を休んでいるのかな」

「ああ、もし通っていれば、必ずおれに声をかけて行くからな」

「そう。どうしたんだろう」

ひろみは優のことが、なんだかとっても心配になってきた。